【コラム】日本の現状と『嗚呼、素晴らしきこの世界』を想って

雑記



関西のフォークロックバンド・The Slumbersの新曲『嗚呼、素晴らしきこの世界』。

これを聴いた時には日本の現状について深く考えずにはいられない。

今日は珍しくキーワードやSEOガン無視して、日本の現状と『嗚呼、素晴らしきこの世界』について、想いを綴ろうと思う。


リーダーに届かない国民の叫び



「今朝のニュースと 政治家が嘘をついて」で始まるメロディー。


「今朝のニュース」…。


ふとある知人のことを思い出した。

彼女の同級生は、中学時代に学校の屋上から飛び降りて亡くなった。

マスコミの心ないインタビューに苦しんだ彼女は、「人が苦しまないマスコミ業界を作りたい。本当に大事な情報を伝えるという、マスコミ本来の役割を取り戻したい」と、マスコミ業界を目指していた。

いま彼女はどうしているだろう。

現在の新聞やテレビを見ている限り、彼女の希望が届いているとは全く思えない。



「政治家が嘘をついて」…。


政治家の嘘を見分ける方法など、今の私たちにはありもしない。

テレビでしか出会えない政治は、とても遠い世界になってしまった。


そんな中、希望を持って政治家を目指す女性に出会った。

彼女は言う。「いろんな世代の人を巻き込んで、話し合いに混ぜたい」。

「今の・将来の日本を動かす若者の声はどれほど届いているのだろうか」。

いま感じる疑問を忘れずに進み続けてほしいと、強く思った。

そんな彼女が大人の力に呑まれてしまうような世界ではないことを、強く願っている。



「暗い話ばかり詳しくなります」「他人様の雨で心晴れます」


私はいつからか、テレビのニュースを見なくなった。

もちろんテレビでは本当に必要な声も上げられているだろう。

しかし、人の不運を取り上げて一時のネタにして、お金にする。

そんな臭いを嗅ぎ取ってしまうことも増えた。

ある朝ニュースに同情したとして、1ヶ月後に同じ感情を抱いている人はどれくらいいるのだろう。

せめて自分はそんな視聴率に加担したくないと、感じるようになってしまった。



私の友人は、自閉症だった。10個も歳下の、高校生の友人。

2020年の夏、彼は実の母親に殺された。

新聞の報道は「介護疲れにより心中を図った」というものだった。

しかし私は、お母さんも自閉症という特性も、恨んではいない。

関わっていながら救えなかった自分と、日本の福祉を強く恨んだ。

彼の名前は、たった1日で新聞から消えた。

なんだかとても虚しくなった。

あれは「本当に必要な声」だったのではないか?

日本の福祉の行き届かなさを訴える事件ではなかったのか?

新聞の枠を埋めて終わりにしてはいけないだろう?

まさに「暗い話ばかり詳しく」なってどうするんだと、憤った。


あれから8ヶ月、未だに私の心は彼のことを想っている。

広い空の上で今も笑ってくれているだろうかと、思いを馳せる。


追い込まれた日本人



「時は流れて未だ僕も傘がない」「今日も都会では人が死ぬのかい」

重い言葉が続く。

しかし目を背けてはいけない現実がある。

本当に追い込まれた人間は、自殺か他殺を選ぶと言われている。

殺された友人の母親もそうだったのだろう。


かく言う私も、双極性障害とアスペルガー・ADHDの特性で長いこと苦しんできた。

気分が重く会話もできず、また、人と違う個性ゆえにほとんど友達もできなかった。

常に追い詰められた気分で、人を睨み、真剣に他殺を考えたこともある。

死にたくなって2週間ほど固形物が喉を通らなかったこともある。

だからこそ、追い詰められて自殺や他殺を選ぶ人の気持ちがわかる。

「痛いほどわかる」などという言葉では軽いくらいに、それはもう想像すれば「身が切れそうになるほどに」わかる。


「未だ僕も傘がない」という歌詞で井上陽水の「傘がない」を連想する人は多いだろう。

「傘」とは何だろうか。

私たちを冷たい雨から守ってくれるものは一体何なのだろうか。

それがわからずに、でもそれが今ないことだけは理解できるから、希望を持てずに自分や他人の命に手を掛けることになるのかもしれない。

そうして「今日も都会では人が死ぬ」

いや、報道で都会の話が取り上げられやすいだけで、田舎だろうと都会だろうと苦しんでいる人は山のようにいるのだろう。



自殺と他殺の衝動を乗り越えた今…

私は人様の子供でも全力で遊ぶし、車椅子の人を見かければ気にかける。

大切にしてくれる人や好きなものを愛する。

少しの優しさが、人の心に小さな小さな花を咲かせれば、それだけで何か変わるかもしれないと信じている。

1つ1つ、身近なところから「傘」を広げていきたいと思っている。


自然との共生



「森は干上がり海には化学を捨てる」
「鳥は海を渡り ひぐらしがどこかで泣いているぜ ここにいる ここにいると」
「鳥も海も僕も 同じ太陽と月の明かりで 生きている 生きています」




日本の誇る屋久島の自然が台風で荒れてしまったことを、どれだけの人が覚えているだろうか。

私は屋久島サルの生態研究ボランティアをやっていた。

全国から集まった大学生ボランティアの仲間たちは口を揃えて言う。

「屋久島に帰りたい」と。

「また屋久島に行きたい」ではないのだ。

あの大自然に触れた者なら、人が自然に生かされていることを感じずにはいられないだろう。

人間は自然に帰るものだと、皆の無意識に出た言葉から感じ取れる。

「鳥」「海」「僕」が、「同じ太陽と月の明かりで生きている」のだと、まさにあの時強く感じた。


仲間のひとりが言った。

「夜景を見ても、それより綺麗なものが心の中に残ってるっていいよね」。

人を生かす樹齢1千年の大自然は、美しかった。

それを破壊しつつある私たちは、もっと自然に想いを馳せる必要があるのではないだろうか。

「針が振れる音に気づかないまま」

地球の限界は刻々と迫っている。

私はもともと医療系の人間だが、ボランティアを通して、人を救うだけではミッションは終わらないことを感じた。

自然と人との共生。それを忘れては生きていけない。

屋久島の台風被害も、ニュースや新聞の穴埋めで終わらせてはいけないのだ。


届かない叫びを代弁してくれた



「どれだけ冷たい雨が降れば ヒトは過ちに気づくのだろう 魂が溶ける前に」

「どれだけ枯れた声で叫べば ヒトは悲しみに気付くのだろう 魂が溶ける前に」

ボーカルの佐々木智則が強い声で訴える。


今の日本には、「冷たい雨」に降られている人がどれほどいるのだろう。

時に力をふり絞って声を上げても、かき消される。

いつしか「枯れた声」になって、聞こえなくなる。

それを見過ごすのが「過ち」であると、いつになったら気付いてくれるのだろう。

日本に「悲しみ」が渦巻いていることに、いつになったら気付いてくれるのだろう。

日本のリーダーたちよ、それがあなたの「魂が溶け」ているのと同義だと、どうして気付かないのだろう。



3.11については、今はまだちゃんと書けない。

当然今でも想いを馳せるのだが、自分の中でもまだ心の整理がつかない。

しかしあの日から、「悲しみ」「冷たい雨」「枯れた声で叫」ぶ人が、やっとやっとクローズアップされてきた。

それにも関わらず、「気付」いてはくれない日本のリーダーたちよ。

権力と経済を回すことに必死なリーダーたちよ。

この曲で気付かなければ、本当にあなたたちの「魂が溶け」てしまうぞ。

それは、人が人でなくなることだと思う。


「分かり合えない人が また人を離れ」

災害の多い日本で優しさを持てなければ、どうやって生きていくつもりなのだろう。


ふとマザー・テレサの「世界を救うには、まず隣人を愛せよ」という言葉を思い出した。

せめて自分は、隣にいてくれる人を大切にしていきたいと、今はただそれを強く思う。


それでも希望を持って生きていこう



「なんてことはないさ 神様も所詮は人間さ 見ているフリするのさ」
「それでも僕等は上を向いて 赤い血の巡るリズムの中で 只々考えます」




「上を向いて」

こんな現状でも、上を向いて歩き続ける若者たちがいる。

「神様」「見ているフリ」をされても、上を向いて歩き続ける人がいる。


「赤い血の巡るリズムの中で」

自分たちは人であることをやめない。やめてたまるか、負けてたまるか。今の政治家と同じになってたまるかという叫びが聞こえてくるようだ。


「只々考えます」

考え続けることは、諦めないこと。人が人であること。

それを佐々木はわかっているのだろう。


希望を持って、人として生きていきたい。

思考停止せずに、現状を少しでもよくしていきたい。

そんな日本人の想いを代弁してくれる。

最後には希望を持って生きていこうぜと、語りかけてくる。


終わりに



日本の福祉は、苦しんでいるすべての人に手が届かない。日本国憲法に定められている「健康で文化的な最低限の生活」は守られている気がしない。

日本の研究環境は、駒になるか、政治家になるかの世界。若者の自由な発想は止められた。

希少疾患の薬は金にならないから研究が進まない。叫び続けている人がいるにも関わらず。

ブログを書いても、キーワードやSEOでセレクションが掛けられる。みんなが本当に発信したい言葉は広まっているのだろうか。


日本という国で暮らす中、憤りを感じることは数え切れないほどある。

それを代弁してくれた『嗚呼、素晴らしきこの世界』。

私の心をいつも救ってくれる。

諦めずに生きていこうと思える。

今日日こんなにも素晴らしい曲に出会えたことを感謝している。


▶︎嗚呼、素晴らしきこの世界【You Tube】