パワポを使ったプレゼンのコツ【科学論文紹介・完全手順書】
こんにちは、てまごんです!
京大薬学部・医学研究科博士課程にいました。
いずれの研究室でも、教授や学生の皆さんに「プレゼンがうまい」と評価をいただいてました。
というわけで、今回のテーマは~パワーポイントを使ったプレゼンのコツ【科学系論文紹介編・完全手順書】~です!
理系学生のみなさんは論文紹介プレゼンの機会も多いと思います。
筆者は完全にこの記事のとおりにプレゼン作成・発表していたので、参考になれば幸いです。
論文紹介プレゼン作成の手順・発表時の注意点まとめ
最初にまとめから。
そして、これらを順に説明していきますね。
論文紹介プレゼン作成の手順
①論文を日本語訳しながら熟読(英語が得意な人は英語のままでよい)
②PDFからFigureをスクショ・パワポに一旦適当に配置
③①の日本語訳と②のFigureを照らし合わせながら、原稿を作る
④原稿の中から、重要箇所をパワポに書き込み
⑤パワポの図を配置しなおす
⑥必要に応じて「イントロ」をつくる
⑦パワポの各ページに表題をつける
⑧表紙とまとめページをつくる(資料完成)
⑨質問対策
⑩原稿を覚える
⑪リハーサルをする
発表時の注意点
【1】レーザーポインタはぐるぐる回さない・持ち手を考える
【2】原稿はできるだけ読まないのが望ましい
【3】声は大きく!
【4】質疑応答はムリゲー
論文紹介プレゼン作成の手順

①:論文を日本語訳しながら熟読(英語が得意な人は英語のままでよい)
筆者は英語が苦手だったので、全部日本語訳してワードに書いてました笑筆者が駆使していたのはGoogle翻訳とWeblio辞書です。
Google翻訳は頼りになりますが、一度は自分で目を通して考えることです。
Google翻訳は、論文のように1文が長い文章に弱く誤訳が頻繁に起こりますので。
この際、筆者は
・論文名
・要約
・本文
・Figureの説明文
・メソッド
全てを訳していました。
この過程で、論文の内容を全て把握してしまいましょう。
分からない用語や試薬、実験名などが出てきたら、調べながら進めることです。
この①の作業はとても大変だと思いますが、後の原稿作成・質疑応答対策にも役立ちます。
②:PDFからFigureをスクショ・パワポに一旦適当に配置
スクショするときに気を付けてほしいのが「できるだけ解像度の良い状態にする」ということです。つまり、PDFを最大限アップにしてスクショし、それをパワポで縮小するべきです。
逆に小さい状態でスクショしてパワポで拡大すると、解像度が悪くぼやけて見えるので、資料を見ている人に不親切です。
この段階では、一旦適当に配置してしまいましょう。
③:①の日本語訳と②のFigureを照らし合わせながら、原稿を作る
日本語訳をそのまま原稿にしたのでは、伝わらないことがほとんどです。「論文では~と述べられています。つまり、~~ということです」
と「行間を埋める」ように説明を追加して、初めてその論文に目を通す人でも理解しやすいようにしておきましょう。
「このFigureでは~~」のように、実際に「喋る」ことを意識して書いてみましょう。
④:原稿の中から、重要箇所をパワポに書き込み
ただ話しただけでは、論文の重要箇所がわからない学生がほとんどだと思います。ポイントになる部分を、該当するFigureの近くに簡潔に書いておくと親切でしょう。
書けば書くほど、発表時に自分がそれを読めるので顔を上げて喋ることができます。
しかし書きすぎると不格好な資料になってしまいます。
バランスよく書き込むようにしましょう。
レジュメを配るタイプの発表会なら文字は多少小さくても構いません。
配られない場合は、聴き手が見やすいように字をできるだけ大きくしておきましょう。
留学生がいる場合は、日本語バージョンと英語バージョン、両方つくっておくと親切でしょう。
⑤:パワポの図を配置しなおす
論文の内容を理解し、原稿を書き、Figureに補足説明を付け足していくと、「ここで区切った方がわかりやすいな」
「1枚に入れようとすると見にくくなるので、ここで分けよう」
と、区切るべき場所が分かってくると思います。
この段階で、パワポの図をわかりやすく配置しなおしましょう。
⑥:必要に応じて「イントロ」をつくる
イントロは必ず必要というわけではありませんが、ほとんどの論文発表会でつけることになると思います。イントロにすべきは「論文に使われている重要実験や試薬の概要」「論文を理解するために必要な生命現象やシグナル経路」などです。
例えば抗体が複数種類使われていて、それらの特性を理解しなければ何のこっちゃわからん、という場合は「各抗体の特性のまとめ表」を作ってもいいでしょう。
ある生命現象やシグナル経路を理解しておかないと読むのが難しい場合は、それらについて冒頭で説明するべきでしょう。
⑦:パワポの各ページに表題をつける
この段階ではじめて、各ページに表題をつけます。「そのページのFigureから言えること」と「表題」がズレないように気を付けてください。
よくあるミスは、論文でひとまとまりにされているFigureをスライド2枚に分けて配置し、後半のページにいかないとわからないことまで前半の表題に書いてしまうことです。
あくまで「そのページのFigureの結果から言えること」だけを簡潔にまとめるようにしましょう。
⑧:表紙とまとめページをつくる(資料完成)
表紙には・論文名
・ジャーナル
・著者
・発表日
・発表者(自分の名前)
は必ず入れるようにしましょう。
プラスで、論文の概要を入れても構いません。
筆者は表紙に論文のまとめを箇条書きで書き、まとめページでも同じスライドを使っていました。
こうすると、
・論文の概要を説明
・それについて詳しく説明を進めていく
・再度、重要箇所をまとめる
という流れができあがります。
⑨:質問対策
基本中の基本は「作ったスライドの中に分からない点がないようにする」です!自分でもわからないことを他人に話すなんて言語道断です。
そんなことをしていては先生に怒られても仕方ないと思いましょう。
逆にスライドの中に書いたことを徹底的に理解していれば、大抵の質問には答えられます。
なぜなら学生は論文まで詳しく見ない人が多く、ほとんどの人がスライドやレジュメを見て理解しようとするからです。
論文の隅々まで理解する時間がない人は「スライドの中に分からないことがないようにする」を徹底しましょう。
追加で調べておくと役に立つのは、ファースト・セカンドオーサー・ラストオーサーについてです。
そんなことまで調べるの?と思った方もいるかもしれませんが、先生の気持ちになってみると分かると思います。
研究を職業にしていれば、こんなすごい論文を出したのはどこのどいつだ?!となりますよね。
どの国のどの研究室の人か、その研究室では普段どんな研究がおこなわれているか。
ここまで説明できたら先生も喜ばれ、評価が上がることでしょう。
⑩:原稿を覚える
原稿はできるだけ見ないのが望ましいです。理由は後述します。コツはスライドに書いてある部分は覚えなくてよいということです。
なぜなら、書いてあることを読めば、自然と顔を上げて話すことになりますから。
スライドに書かれていない補足説明などを中心に覚えるのが効率的でしょう。
しかし、完全に覚えるのが難しければ無理しなくて良いです。
自分のやっている実験でもないので、短期間で理解して説明できるようになるのはかなり難しいので。
前述した「スライドに書かれていることを完璧に理解」ができていなければ、まずそちらを優先しましょう。
⑪リハーサルをする
できれば当日発表する教室を貸し切って、リハーサルをしましょう。チェックポイントは以下の通りです。
・スライドをスクリーンに映したときに、Figureが色あせたり見にくくなったりしないか
・スライドを遠隔操作する場合、問題なく動作するか
・スライドがスクリーンからはみ出さないか
・レーザーポインタの電池は充分にあるか
当日立って喋るなら、リハーサルでも立って喋ってみましょう。
座って喋るのと立って喋るのとでは、感覚がだいぶ違うと思います。
発表時の注意点

【1】レーザーポインタはぐるぐる回さない・持ち手を考える
レーザーポインタをぐるぐる回す学生は多いですが、優秀な研究者はみな「指したい箇所」でピタッと止めます。iPS細胞でノーベル賞を受賞された山中伸弥先生も気を付けていることだそうです。
筆者が学部生時代に所属した研究室も実はけっこう有名なのですが、そこでも教えられたことです。
また、スクリーンの左側に立つときは左手、右側に立つときは右手に持つと良いといわれています。
理由は、体が開いて堂々として見えるためです。
アカデミックでそこまで気にする人はあまりいませんが、製薬企業の先輩に教えていただきました。
ビジネスシーンでは評価されるワザみたいです。
ちなみにレーザーポインタは「緑色」を使うのが望ましいです。
赤色だと、色覚異常のある方だと見えないことがあるみたいです。
【2】原稿はできるだけ読まないのが望ましい
前述したとおり、原稿はできるだけ読まないほうが良いです。理由は【1】ができなくなるからです。
原稿を丸読みしていては、指したい箇所で正確にピタッと止めることはできませんよね。
「体を開いて堂々と」することもできません。
【3】声は大きく!
当然のことですが、声は大きく出しましょう。聞きに来てくれた人に届かなければ意味がありません。
【4】質疑応答はムリゲー
正直、上記のことをやっていれば9割9分評価されます。そのかわり質疑応答が難しくなるでしょう。
なぜなら、論文を分かりやすく丁寧に説明できたら「聴き手もなかなか質問が思いつかない」からです。
基本事項が完璧に説明できていなければ基本的な質問が飛んできますが、完璧に説明できればその時点で「簡単な質問」が排除されるのです。
学生なら一生懸命頭をひねって質問を捻出するでしょう。
先生も、先生レベルの質問を飛ばしてきます。
正直ムリゲーに近いので、わからないところは「すみません、調査不足でわかりません」と言って構いません。
先生もムリゲーだと分かって質問していると思います。
先生の立場上、学生に何も物申せないのは格好悪いですから、難しい質問が飛んでくるのは当然です。
前述のとおり、これまでのことができていれば9割9分評価は高くなりますから、やることをやりきったら後は諦めが肝心です笑。
ただし「わからない質問」にビビりすぎるのはダメです。分かる部分は、堂々と答えましょう。
最後に

繰り返しになりますが、再度まとめです。
論文紹介プレゼン作成の手順
①論文を日本語訳しながら熟読(英語が得意な人は英語のままでよい)
②PDFからFigureをスクショ・パワポに一旦適当に配置
③①の日本語訳と②のFigureを照らし合わせながら、原稿を作る
④原稿の中から、重要箇所をパワポに書き込み
⑤パワポの図を配置しなおす
⑥必要に応じて「イントロ」をつくる
⑦パワポの各ページに表題をつける
⑧表紙とまとめページをつくる(資料完成)
⑨質問対策
⑩原稿を覚える
⑪リハーサルをする
発表時の注意点
【1】レーザーポインタはぐるぐる回さない・持ち手を考える
【2】原稿はできるだけ読まないのが望ましい
【3】声は大きく!
【4】質疑応答はムリゲー
論文発表会は、準備に時間がかかって大変だと思います。
しかしプレゼンは自分の評価を上げるのに最適な場です。
ぜひ負けずにがんばってください!
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m